新型コロナウイルス感染症が蔓延する今だからこそできる診療所経営

緊急事態宣言下における外出自粛に伴って診療抑制がかかっていると予測される診療科も少なくないと思われます。
緊急事態宣言が解除になっておりますが、外来患者数は戻っているでしょうか?
新型コロナウイルスのワクチンができるまで待てる診療所は良いのですが、固定費が多い診療所は何らかの手を打たなければなりません。
現在実行されている施策はありますか?
新患さんを集める対策も必要でしょうけれど、先ずは既患者さんのフォローをお願いします。
できることはたくさんあります。
せっかくの時間を有効につかいましょう。
でも、その前にしておかなければならない必須施策があります。
それは、このレポートを読んでいただければわかります。

このレポートは、経営でドクターにとって役に立つのはもちろんのこと、
「すべてのビジネスパーソン」にも即座に使える実践的なノウハウが満載です。

はじめに…

私は札幌で医科診療所の「増患・経営支援」を提供している“OFPコンサルタント合同会社の大山隆男です。
多くのドクターは医師免許を取得して、研修医から勤務医になり、その後独立開業という道を選ばれているかと存じます。独立開業に向けて経営の勉強をされていらっしゃる方もいらっしゃいますが、過酷な勤務をこなしながらではいくら時間があっても足りません。そんな時に「開業支援コンサルタント」にお願いすれば大方の事は代行してくれて、目標日にはめでたく診療所開院できます。イメージ的には大きな器(ハード面)はできてお披露目できたという事でしょうか。しかし中身の(ソフト面)が無いままの船出となり難破する可能性もあります。
中身(ソフト面)とは「理念」です。院長の想いです。
診療所をどの様に運営していくのか。どんな患者さんに来てもらうのか。誰と一緒に働きたいのか。皆が同じベクトルで同じ方向を目指して進んで行くのか船の羅針盤です。

本日はここで、弊社クライアントのお話をしましょう。
今は院長を含めスタッフ総勢15名が在籍する診療所です。開院当初は医師・看護師・受付事務の3名でスタートしました。小さな診療所がこんな所帯になるとは思ってもいませんでした。
しかし、最初から順調だったわけではありません。開業支援コンサルタントに全ての事をやってもらったのですが、ご多分に漏れず、開院10ケ月目でも1日平均来患数が12名と午後は暇で暇でイライラの毎日だったようです。
私どもが経営支援に入らせていただいてからは順調に進み、今は1日80名の外来患者さんを診ています。「そんなに忙しくなって…」と思われるかもしれませんが、実は院長はそれほど負担に感じていないようです。なぜなら、安心して任せられるスタッフが揃っているからです。開院して4年目に医療法人化をしました。新たな取り組みや将来に向けての事業展開をじっくり考えることができると喜んでいます。
この診療所の組織がうまく回り始める転機となったのは、それまで無かった「理念」を作ってもらい全てのスタッフに知識を得ることの大切さを認識してもらい、学びを実行して始めたからです。
多くの医師は、専門性が高い「職人」気質の職業です。自身の強みやこだわりを重視してマイペースで診療しています。一昔前まではそれでも通用していましたが今はそんな時代ではありません。
経営者として勉強すべきことは多々あります。一番は患者さんのニーズをつかむマーケティング、患者さんのニーズに応えるためのメニュー、それらを一緒に遂行してくれる人財の採用・育成、各スタッフが円滑に仕事ができるようにまとめるマネジメント。どれが欠けても診療所経営はうまく進みません。

本日は、弊社がクライアントに実践してきた経験を踏まえて、成功につながったノウハウをお伝えしましょう。
このレポートが「開業すべきかどうか悩んでいる医師」「開業してしまったが道しるべを見失っている医師」の皆さんの成功への光明となることを願っています。

では、ここからは先ほど説明した弊社クライアントのM院長に「開業を成功させるために知っておくべきポイント」をお話していただきましょう。

こんにちは内科医のMです。本日は私が経験してきたこと・見聞きしてきたことで失敗する例を挙げて、転ばぬ先の杖的「開業を成功させるために知っておくべきポイント」をご紹介します。

開業をする医師は「これまで自ら学んできた医療を多くの人に届けたい」「それまでに得た医療技術を用いて人を助けたい」といった「職人的」な想いを持っている人がほとんどでしょう。実際、これから開業したいと考えている人にアンケートで聞くと「自分の知識や医療技術を、より多くの人々に役立てたい」と回答しているそうです。
一般的に会社を独立起業する人の内訳はいわゆる「職人」が70%、「手に職は無いが経営の知識はある」という人が10%、残りは「マネージャー的気質がある」「人をまとめる力量がある」人だそうです。
では、開業医はどうでしょうか?上記の分類だと「職人」の99%にあたるでしょうか。私自身も最初は「職人」だったように思います。
これも一般的ですが、患者さんの数に対して診療所の数が少ない時代は「職人」として開院しても自然と患者さんが集まり、労せずしてスタッフも集めることができました。ところが最近は、人口ピラミッドの形が逆三角形のように崩れ、就業人口が減っています。「医師として手腕が優れているから患者さんが来てくれる」「知識や経験があるからスタッフが集まる」という時代ではなくなっています。このことを認識しないまま開業して失敗している例が非常に多く見られます。

ここで「開業したが患者さんが集まらない」失敗例を見てみましょう。

開業当初から躓く例として「患者さんが来ない」というものがあります。
突然ですが、毎日の通勤で同じ道を通われていると思いますが、新しくできた店や住宅を気にして通っていますか?
診療所も逆の視点から見れば同じことです。開業の時に宣伝やPRをしてもそれっきりでは地域の皆さんに知らしめたことにならず「患者さんが来ない」ということになってしまいます。コンビニのように毎日必要なものを提供しているわけではないので、「あれいつできたんだろう」と噂されても仕方ありません。
そこに診療所があることを認知してもらえなければ存在していないのと同じです。
私も最初はそうでした。来院患者数が12人だと自分自身でネガティブになりイライラし、スタッフに当たり散らす毎日でした。スタッフのモチベーションも下がり無口になっていきます。このままだと潰れてしまうと眠れませんでした。
こうした失敗例の診療所に、「認知されるための施策をどれくらいやられましたか?」と尋ねると、ホームページを作ったとか、電柱看板を付けたとか、バスの案内音声をお願いしているとか、この程度です。医療法の広告規制があるせいか「チラシ」すら新聞折り込みやポスティングをしていない診療所もあります。
これでは、他の診療所と同じで埋もれてしまっています。先ほどのチラシですが「保存版」になっていますか?
ホームページにしても同じことです。インターネットで診療所を検索する人は多いようです。特に初診で診療所を探している人は、場所や診療時間を確認するでしょう。では、再診の患者さんはどうですか?そもそも論として検索結果の3ページ以降だと探してもらえない可能性もありますよね。せっかくホームページを作っても検索してもらえない、クリックしてもらっても見づらかったり、冷たい印象のものだったら来院してもらえる可能性が低くなります。
そして一番陥りやすいのが「診療科目」の厳選です。一人医師の診療所なのに幾つも診療科目を列挙している診療所があります。これではターゲットが絞れていません。患者側も選び辛いです。
私は専門外来しか出していません。しかし、遠方からも診療科を探して来院してくれています。

次に「リピート患者がいない」失敗例を見てみましょう
初診で来院してくれた患者さんがリピートしてくれなければ地域に根差した診療所になることはできません。
診療所の売上は  患者数 × 診療単価 × 診療日数 です。
一番に「患者数」が伸びなければ売り上げも上がりません。
初診の患者さんにかかる経費はリピート患者さんの5倍です。
先ほど「医師は職人肌が多い」と話しましたが、どうでしょうか?自分が提供したいスタイルになっていませんか?
診療時間や休診日、予約の取り方や勧め方など「自己満足」になっていませんか?私の知っているクリニックでも院長が患者さんに「私の言うことを聞きなさい!」「なぜ言うとおりにしないの?」と患者さんを叱っている医師がいました。ご想像通り患者さんからは敬遠され、悪いクチコミも広まり、開業間もなく閉院してしまいました。
もし身に覚えがある方は、今一度「なぜ言うことを聞いてもらえないのか」「どうすれば指示通りしてくれるのか」を患者さんの身になって考えてみてください。ご自身の行動を変えるだけでもリピート患者さんが増えますよ。
実は患者さんに限ったことではありません。このような医師は同僚のスタッフにも同じことをしている可能性があります。「私の言ったとおりにすれ!」とトップダウン型の院長の元ではスタッフは育ちません。何故かと言うと抑えられることによる弊害で自主性が育たないからです。結果として意識の低い人しか残りません。そうなると患者さんに対する応対もぞんざいなものになり、リピート患者さんを遠ざけてしまっています。
これまで努力してきた職人肌の医師に限って「自分はこんなに頑張っているのに・・・なぜわかってもらえないの?」「相手が動かないのは自分のせいではない・・・」と他人のせいにする人がいるように感じます。相手に寄り添うようにしてみてはいかがでしょうか。

では逆に「患者さんが多くなりすぎて困る」失敗例
これまでの話とは真逆で、患者さんが来て来て大変という羨ましい話です。が、うれしい悲鳴をあげながら患者さんのためにと診療時間を延ばしたり、自分は何でもできると錯覚してスタッフの職域まで踏み込んで荒らしてしまう院長がいます。寝る間も惜しんでやっているうちに自分でも知らない間に限界を超えてしまっている。患者さんのためにと思いながら、思いとは裏腹に2分間診療になっていては患者さんは満足できているでしょうか?

さて、これまで3つの失敗例を見てきました。いかがだったでしょうか?
まさかと思われるかもしれませんが、どれもありがちな実例です。
では、このような失敗をしないようにするためにはどうすればよいのでしょうか?

同僚と話をしていると
*今まで、これだけ論文を書いて実績を残してきたんだから患者さんは来るだろう
*こんなに研究をしてきたんだから患者さんに喜ばれるだろう
職人肌の医師は上記のことを武器に開業されますが、患者さんにわかってもらえている人はいるのでしょうか?
診療所を運営する上で必要な「差別化」って何か?考えたことはありますか?
決して上記の2つではありません。
なぜなら上記の2つは同業者には差別化になるかもしれませんが、患者さんには関係ないからです。

今日はいつもより早めに診療が終わりました。スタッフと一緒に食事に行こうと提案します。では、何処にしますか?
色々な選択肢がある中で、「仕事帰りに仲間と一緒にくつろぎたい」店はどこかとなりますよね。用途や気分に応じて店を選ぶと思います。一緒に行くスタッフの好みのお店を選ぶなら「おしゃれなイタリアンレストラン」かもしれませんし、体育会系の男性3人で行くなら「焼肉食べ放題」のお店かもしれません。おしゃれなイタリアンレストランは店長の自慢であるピザ窯で焼く大判ピザはどこにも負けない具材と何種類も混ざったチーズが人気商品です。また、焼肉食べ放題のお店は生樽ビールが最高に旨いです。なんとビールを自分で注げるコックが目の前に常備されているのです。ビール党の私には最高のお店です。

診療所も同じで「来院して下さった人を治すことができる」だけでは決め手に欠けます。近所だからという理由なら、隣に診療所ができたらどうですか?隣の方が便利ですよね。
先ほどのイタリアンレストランや焼肉食べ放題のお店のように「患者さんが通わなければならない理由」が必要なのです。それを「貴院のウリ」といいます。
もし、貴院のウリが無い場合は早々に見つけてください。なければ作ってください。

私の知人が開業後、経営に行き詰まり相談をしてきたことがあります。
よく話を聞くと、
「勤務医は時間が不規則だけど、開業医になれば平日勤務で夜勤もないし残業も減る」
「勤務医時代よりも収入が多くなりそうだ」
「自分の思い通りに医療を探求できる」
と思っていたそうです。
あなたも同じようなことを考えていませんか?
でも、これは「自分本位」ですよね。これで成功するのはかなり難しいのでは・・・。
患者目線ですべての物事を見るくせをつけてください。スタッフ目線で仕事をしてみてください。
相手の立場がわかり、協力し合う集団に生まれ変わります。

私の診療所は当初3名での船出でした。今は15名おります。
一気に増員したわけではなく、1年2年で一人ふたりと時間をかけて増員してきました。
想像する通り、たくさんのスタッフがいると十人十色の意見が出てきます。皆良かれと思って言っているようですが、中には自分本位の意見になっている人もいます。これではいつまで経っても中々まとまりません。
では、なぜなのでしょうか?
私は考えました。「誰に、どんな目的で、その価値を与えられるだろうか」と・・・。
そうです。自院の理念をかかげ、スタッフ全員に同じ思いで仕事に邁進してもらうために・・・。
一般会社なら「社訓」などがあり当たり前のことだと思いますが、こと医療業界ではどうしても全てを自分で舵取りをしてしまうトップダウン型になりがちです。
しかし、一人でできることは限られています。すべてを一人でやろうとして失敗した経験から言えることは、適材適所に仕事を任せられる人がいる。私は報告を聞いて決断をするだけ。
どうしてそれをやらなければならないかを自分たちで考えることで自主性が培われ、発表することで表現力も増し、責任感も高まります。ボトムアップ型になることで仕事に「ワクワク感」が湧いてくるのです。

これまでの経験をもとにお話を進めてまいりましたが、これらは私ひとりでは成し遂げることができませんでした。そうです。OFPコンサルタントの大山社長が伴走車となりフォローしてくれたおかげです。
職人肌から経営者へ導いてくれたおかげで、地域に親しまれる診療所であり続けたいと思っています。

M院長ありがとうございました。
きっと言いづらいこともあったと思いますが、これから開業する多くの医師に心から訴えかけてくれた事は賛辞されることと思います。
お金をかけずに増患する方法です。「自院のウリ」を見つけてください。なければ作ってください。
そして、それをスタッフ全員に共有してください。患者さんにも伝えてください。
今だからこそ、できる時です。

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