院長の困りごと 5

希望をもって開業したが、思い通りにいかず
何処に問題があるのか教えてほしい・・・!

【1】スタッフを大事にする診療所が繁盛する理由とは…!

ここでは、集患・増患のためのポイントを見ていきましょう。ここでのレポートでは、「スタッフ」に対して利益を相応に還元することで、どのようなメリットがあるのかを説明します。

スタッフが定着しない診療所は患者数も減っていく

経営者の心構えのひとつとして、雇用しているスタッフを大切にすること、具体的にはスタッフに対して、利益を相応に還元することも重要な要素です。十分な利益が残っているにもかかわらず、それを従業員に還元することに積極的ではない、あるいはそのこと自体に気が付かないという院長は、実は少なくありません。スタッフはずっと院内に常駐しているわけですから、来院患者数の増加も肌身で感じているでしょうし、受付に至っては会計をする関係上、一日にどのくらいの売上があるかを把握しています。にもかかわらず、還元は一切なされないとします。

この様な院長のもとで、スタッフは「いつまでもこの診療所で働き続けたい…」という気持ちを継続していくことは困難です。
モチベーションが上がるはずもありません。実際、どんなに患者さんが増えていても、「これ以上の昇給は、○○さんに関しては考えてない…」とスタッフに対して通知している診療所を知っていますが、そこでは、不満を持ったスタッフが次から次へと辞めており、常に求人広告を出しているような有り様です。当然のことですがスタッフが定着しない診療所においては、次々に患者さんも減っていきます。来院患者さんの多くは、持病があったり、怪我をしていたりと不安な心理状態にあります。
そうした状況下で、スタッフの入れ替わりが激しいと、安心感を得ることができず、「この診療所はこんなに次々とスタッフが入れ替わってはたして大丈夫なのでしょうか…? 何か根本的に問題があるのかもしれない…」と“ぎすぎすとした”診療所の雰囲気に嫌気がさして、自然と足が向かなくなってしまうのです。

一方、「スタッフにしっかりと利益を還元している診療所」においては、院長の方針を意気に感じているスタッフたちが固定化するので、行く度に顔ぶれが変わっているようなことはありません。加えてスタッフのモチベーションも高いため、診療所の雰囲気も良く、当然のことながらスタッフの感じも良いのです。よって落ち着いて、安心して治療を受けることができるため、再診の際にも自然と足が向くのです。

福利厚生に力を入れ、スタッフのやる気を上げる

私(大山隆男)のクライアントの中には、2年に1回、国内外へ社員旅行に出かけたり、年に2回プレゼント付きの盛大な食事会を開催したり、“スタッフの誕生会”を催すなどして、従業員福利厚生に力を入れている診療所があります。こうした院長は揃って、「スタッフに長期間、高いモチベーションを持って勤めてほしいから頑張っている…」と話しています。この思いやりはスタッフに確実に伝わるので、スタッフ各人の心の中では「この院長のもとなら、一生懸命頑張りたい…」というやる気が出るのです。
何事においても“ギブアンドテイク”を大切にしなければ、円滑なコミュニケーションは図れません。
それはたとえ、雇用者と被雇用者との間であっても同様です。

「損して得取れ…!」とはっきり言うわけではありませんが、スタッフのために身銭を切れる院長が経営している診療所は、間違いなく、開業後、順調に来院患者数が伸び続けます。

【2】ES(従業員満足)とCS(患者満足)の業績への影響

診療所の業績を左右する大切な要素として広く知られているCS(顧客満足)
さらに近年、あわせて注目されているのがES(従業員満足)です。

「ES」を向上させることが「CS」の向上につながり、ひいては診療所の業績アップにもつながります

ここでは、「ES」と「CS」のそれぞれについての説明と、この二つの関係性について説明します。

ESとは仕事や職場環境に対する「従業員満足」のこと

ESとはEmployee Satisfactionの略で「従業員満足」のことです。従業員の業務内容用や給料、福利厚生、職場環境、人間関係など職場における総合的な満足度のことを指します。人材は、診療所の大切な財産です。現在では、従業員の満足度を向上させることが診療所の業績アップにつながるという考え方が広まっています。

ESが向上することによって、従業員が高いモチベーションで仕事に取り組むことができ、従業員のパフォーマンスが上がり、結果として診療所の業績も上がるといった事例が増えてきたためです。ES向上の指標は、給料などの待遇面だけではありません。
従業員が仕事にやりがいをもって気持ちよく働ける環境や、風通しの良い人間関係なども大切な要素となります。

CSとは商品やサービスに対する「顧客満足」のこと

CSとは、Customer Satisfactionの略で「顧客満足」のこと。患者さんが、“診療所の医療サービスにどう満足しているか”ということの指標です。患者さんの消費行動は、受診するだけで終わりではありません。
医療サービスに対する満足度が高ければ、患者さんはリピーターとなり、次回も体調不良の際には自院に再来してくれます。
また、周りの方に“院長の診療所を紹介したり勧めたりもする”でしょう。

CS向上により、そうしたリピーターが増え、また新規顧客が増えるという好循環が生まれます。
CSの要素には医療サービスの品質はもちろん、診療所の信頼性やイメージなども含まれます。

ESとCSの関係性「“ESなしにCSはありえない…”」

「ESなしにCSなし…」この言葉は、診療所が利益を上げるためにはCS(顧客満足)が必要であり、CS向上のためには、ES(従業員満足)が必要であるという考え方から生まれた有名なスローガンです。
従業員がやりがいと満足感を持って仕事に取り組めて初めて、患者さんへのサービス向上への取り組みができるということです。
それは、短期的にCS向上のみを追及しても結果にはつながらないということもあります。

「お客様は神様です…」といった言葉もあるほど、CSは元々、一般企業の経済活動の中で“利益追求のための優先事項”とされていました。しかし、継続的な企業成長という本来の目的を見失うほどの過剰なCS向上は、逆に会社の利益や経営を圧迫するようになります。今や医療機関も一般企業と同じです。医療サービスにおける価値の概念も時代と共に変わり、何に価値や満足を見出すかという基準も変化しています。継続的に診療所の価値を高め、CSを高めていくためにはESの向上が必要不可欠なのです。

ESの低下が引き起こすリスクは業績や経営にも影響する

ESの低下は、モラルの低下につながります。ES(従業員満足)が与える影響はCS(顧客満足)だけにとどまりません。
ESの低下は、診療所では従業員のモチベーションだけではなく、モラルの低下にもつながると考えられています。
従業員のESが不十分な場合には、次のようなリスクが引き起こされる可能性があります。

  • 患者さんに対するホスピタリティのない接遇による信頼度低下
  • 不満退職による離職者の増加
  • 遅刻や欠勤率の増加
  • 勤務態度の悪化
  • 自己成長意識の低下
  • 顧客情報や機密情報などの漏洩、不正取得など

このようにESの低下による従業員のモラルの低下は診療所の業績、さらには経営自体にも大きな影響を与るほどのリスクになりかねません。

ESを向上して負の連鎖を断ち切る…!

また、ESの低下によって引き起こされた業績の低下が、更なるESの低下につながる負の連鎖になってしまうケースもあります。
この負の連鎖を断ち切るにはESの向上が不可欠です。このことからも「ESなしにCSなし」のスローガンが示すように、ESを向上させることが、診療所にとってどれほど重要なことであるかがわかります。

ES向上のために診療所が大切にしたいこと

ES(従業員満足)向上のために診療所ができる取り組みにはどのようなことがあるでしょうか。

◎診療所理念をしっかり作る、明確にする

ESの要素の一つに診療所や仕事に対する「誇り」があります。診療所が標榜する企業理念に共感でき、誇りを持つことができれば高いモチベーションを持って仕事に取り組むことができます。

◎努力や結果が反映される評価制度・給与体系

仕事である以上、必ず結果や成果についての評価がなされます。取り組んだ業務内容や残した結果に対しての正当な評価や報酬は、もちろん従業員の満足度を高めるのはもちろん、評価基準が明確にされていることも、仕事へ取り組む意欲を後押しするでしょう。

◎仕事のやりがい、楽しさを実感できる

仕事のやりがいや楽しさについては、従業員の主観によるところが大きいですが、診療所としても意識的に取り組んで行くことが必要です。そのためには、「責任・裁量を与える」→「任せる」→「達成」→「評価」という流れを作ると良いでしょう。

ここで言う評価とは、単に報酬を支払うことだけではありません。自分の仕事が「誰に」「どのように」役立っているのかを感じることは、大きなやりがいにつながります。

気持ちよく働ける労働環境・福利厚生制度の整備

気持ちよく働ける、働きやすい労働環境や制度の整備も重要なポイントとなります。
環境や福利厚生がしっかりしている診療所だと、従業員は診療所から大切に扱われていると感じ信頼関係が生まれます。
近年増えてきた、“リフレッシュ”や“社内コミュニケーション”を促すような福利厚生制度も、働きやすさを向上するための有効な取り組みと言えます。

最後に・・・

ES(従業員満足)とCS(顧客満足)の関係について説明しましたが、ES向上が診療所の業績、さらには経営にとっていかに大切な要素であるかが理解いただけたと思います。勿論、診療所の業績アップにはCS向上が欠かせませんが、CS向上は、ES向上が実現して初めて取り組めるものです。

“給与”“やりがい”“労働環境”“福利厚生”など様々な角度から ES向上に取り組み、従業員のやる気と意欲を引き出してCS向上、ひいては、診療所の業績アップを目指しましょう…!

【3】どうしたら診療所を「理想的な状態」にすることができるのか…?

昨今は患者さんが、多くの選択肢の中から、自分がかかりたい診療所や病院を選べる環境が整い、そして、患者さんが診療所や病院を選ぶ際の基準もまた変わりつつあると思います。「家や会社に近いから」という理由だけで診療所を選ぶのではなく、それ以外の付加価値を求める傾向が強まったような気がします。

実際、立地が悪くても、多くの患者さんが通う診療所がある一方で、住宅地にあっても、なかなか患者数が増えない診療所もあります。その差はどこから生まれたのでしょうか。院長は、お分かりの事と思います。
患者さんに選んでもらう、いわゆる「集患・増患」の方法は無数にあります。まず思いつくのは、宣伝・PRを行うことでしょう。しかし、「新聞広告」や「チラシ」などによる広告宣伝には、それなりの費用がかかりますし、医療法(広告規制)により、広告できる内容に制限もあります。また、様々な設備を導入することで医療機能を高めるという方法もあります。

ただ、私(大山)のクライアント先である診療所では、最新の設備を導入するのは、構造的にも資金的にも容易ではありません。それに、設備が揃っていることは悪いことではありませんが、地域密着型の診療所に通う患者さんが、本質的に求めていることは、それ以外にあると思っています。

私は、「集患・増患支援請負人」として多くの診療所を見てきました。その経験をもとに私が得た結論は、設備投資や宣伝といった方法だけでなく、何よりも院長、看護師、受付・会計担当者等のホスピタリティ、つまり患者さんに「他とはちょっと違う良さ」を感じてもらう事、そしてその手段として「院長も含めた内部スタッフのチームビルディング」を行うことが大事です。
(※チームビルディングとは、同じ一つのゴールを目指し、複数のメンバーが個々の能力を最大限に発揮しつつ、一丸となって進んでいく。そうした効果的な組織づくりを「チームビルディング」といいます)

また「思うように収益が上がらない…」「開業以来患者数がなかなか増えない…」「スタッフの離職率が高い…」「スタッフのモチベーションが高まらない…」こんな相談を院長からも受けます。このような状況を調査していくと、ある共通点が見えてきます。

それは「ヒトのマネジメント」が上手くいっていないということです。このような問題の大きさは様々で、すでに施設の存続に関わるような大問題になっているケースから、忙しい日々の業務に追われ、なかなか気づけない小さなものまであります。

多くの院長は「集患・増患」というと、まず、機器の導入だったり、設備の改良だったり、看板・広告を増やしたりと、目に見える部分の充実に気を取られてしまいがちです。ただ、ハード面の充実をいくら図ったとしても、患者さんが目新しさを感じるのはせいぜい2~3週間程度。そのうち患者さんの中でそれが「当たり前…」になってしまいます。また、患者さんが広告を見て来院してくれたとしても「実際に提供された医療サービスの質がそもそも低ければかえって逆効果で、負のクチコミにつながる」恐れがあります。

もちろん、「新しい設備」を導入することや「広告」を出すことは、決して悪いことではありません。経営上とても大事な事だと私も思います。ただ、それ以上に大切なものがあることに気付かないことが、安定した経営を行っていく上で大きな問題です。
それ以上に大切なものとは、院長の診療所を「舞台」として働く、院長やスタッフの対応です。
立場を変えて、患者視点で考えてみてください。答えは必ず見つけ出せます。

現在、国内の医療現場は、相次ぐ診療報酬の改定によって経営が益々厳しくなっています。
ドクターの数は、毎年8,000人以上増加し、地域での診療所は、毎年500以上新規開設しています。
一方で住宅地を歩くと、個人診療所の「閉院・廃院」を見かけることは珍しいことではなくなりました。

このような「閉院・廃院」の理由は、院長の高齢によることが多いはずです。
しかしながら、比較的、新しく若い院長でも、そのような憂き目に合うことも少なくありません。
では、一体、地域医療では何が起こっているのでしょうか…?
そこにあるのは、患者自身による、猛烈な“診療所差別化現象”が出来上がってきているといえるでしょう。

一方では、オープン以来、地域に根付き、評判を上げ、身体がくたびれるほど、患者さんがひっきりなしで訪れる診療所があれば、他方では、十分な患者さんを惹きつけることが出来ず、開業から2~3年以内に閉院される診療所が多く見かけられます。
弊社(OFPコンサルタント)では、この様な“医療分野での競争”をサポートし、手となり足となり診療所経営をサポートする体制を取っております。もし、以下のようなことでお困りであれば、今回の「webレポート」か「無料個別相談」をご利用ください。

(1)看護師さんの「求人募集」しても“全く反応がない”…!
(2)突然、スタッフから退職申し出が続き、どう対処したらいいのか…?
(3)慢性疾患の患者さんがもっともっと来院してほしい…!
(4)開業して数年になるが一日あたりの平均来院数が30人をなかなか超えなく今後の資金繰りが心配…!
(5)希望をもって開業したが、思い通りにいかず、何処に問題があるのか教えてほしい…!
(6)経営戦略やマーケティング、スタッフマネジメントなど何でも相談できる“ゼネラリスト”はいないのか…?
  (ゼネラリストとは、保有している知識や技術・スキルが広範囲に渡る人)
(7)開業医になったら雑務が多く、溜まってしまって困っている…!
(8)もっと、スタッフのモチベーションが上がる「マネジメント術」の方法を知りたい…!
(9)お金をかけずに効果が出る“広告・広報戦略”を知りたい…!
(10)不満を解消させる“患者さん待ち時間対策”を早急に取り入れたい…!
(11)心温まる患者さんから好評の「接遇のポイント」を教えてほしい…!
(12)“ファン患者”にさせる「問診テクニック」を知りたい…!
(13)患者ニーズの把握・マーケティング・チームビルディングを整えたい…!
(14)診療所経営での一番の悩みとは・・・繁盛している診療所の奥義とは…!

※今回のレポートの中で「マーケティング」という言葉が多く書かれています。
マーケティングとは、物が売れたり人が集まったりする「仕組みづくり」です。
診療所でいえば、「患者さんが集まる仕組みづくり」がマーケティングです。繰り返しになりますが、「仕組み」を作っているのです。なので、診療圏調査のような「調査」が「マーケティング」ではありません。

【4】開業医の経営不振が続く原因について

経営不振から抜け出せない原因を私的に実感している事からレポートします。特に“最近開業された内科診療所の院長”は、経営不振からなかなか抜け出せずにいる方も少なくないのではないでしょうか。最近開業された内科診療所が経営不振から抜け出せない一番の原因は、言葉を選ばずに書くと、これまでの診療所経営には「経営」というスキルは必要なかったためです。

これまでの診療所経営

テナントを借りて看護師や医療事務などの人材を用意すれば自動的に新患が来院し、患者数がそこそこ集まっていきました。また、労務問題もこの業界特有の考え方もまかり通ってきました。「業界の普通が世間では普通では無い状況」が長らく続いていましたが、経営を学ばれた若いドクターの新規開業や保険制度の収益低下などが原因により、業界全体で経営不振の診療所が増えてきました。
時代は少しづつ進み色々な情報や派手な実績があなたの耳にも入ってきたことでしょう。孤島でもないかぎり内科診療所で黒字化する事は不可能ではないと思いますし、そこそこ利益を出すことも困難ではないと思います。

これからの診療所経営

今後の診療所経営者に求められることは「全部やる…」です。数字の事やネットのこと手技のこと全てやる必要があります。
「全部やる」ですが全ての事をマスターする必要はなくて最低限の知識で良いかと思います。最低限の知識がなければしっかりとした業者を選ぶ事すらできなくなります。派手な実績のみが選定判断になってしまいます。
難しそうなことは置いといて、これまでの方法で経営していく事も一つの選択だと思います。ただし、それでは現状維持すら困難になってきます。現在は診療所経営が順調だとしても「気がつけば…」なんて事が普通に起きます。
以前が平均外来来院数100名越えの内科診療所が、現在では業績不振なんてことも珍しくありません。

  • ブログ書くのが面倒
  • 数字の事は分からない
  • ネットの事は苦手

などなどあると思いますが、果たして本当にそれでいいのか今一度考えて見ましょう。本気で「業績回復する」と覚悟を決めて行動すれば大半の事は何とかなります。良くも悪くも条件さえ良ければそこそこの利益が取れる状態である事も医療業界の現状です。ですが他院と比べても院長の診療所の業績が変わることはありません。今やらなければいけないことをやりましょう。

「業績不振の内科診療所経営者」が気を付けてほしいことの“まとめ”です

★売上について…

  • 経営不振の原因を他人のせいにしない
  • 感情論や思い込みで判断するべからず
  • 本気になれば何とかなる
  • 出来ない理由を並べても意味なし
  • 遅かれ早かれやるしかない
  • 自分のペースは捨てて、一度集中して仕事に望む(マイペースでやってきたから今がある)
  • “楽して金も掛けずに…”では、問題解決なんてありえない
  • 分からない事があれば調べる
  • “誰かにやってもらう”ではなく「自分でやる」ことが大事
  • 上手くいっていない本当の原因を知らずして解決はありえない

★人材問題について…

  • 理念を語っても人は変わらない(院長が変わらないように従業員も変わらない)
  • 出来る人間を育てた方が早いし本当の意味で公平・公正(それが出来ないならば人材育成をする必要なし)
  • 「トップダウン」か「ボトムアップ」か、本当にどうするか決断する(人材育成と業務トレーニングは違う)
  • キレイごとだけでは解決できないこともある
  • 大半の従業員さんはことの重大さ(貴院の状況)に気付いているが顔に出さない
  • 院長業務は多かれ少なかれ向き不向きがある(なのでどれだけ院長業務を簡略化していくかが重要)
  • ES(従業員満足度)が上がらないと、CS(患者満足度)は高くならず、大幅な経営改善には繋がらない
  • 院長が「上から目線」の態度では従業員はついてこない(チームビルディングなんてありえない…)

最後に・・・

今後、診療所経営で重要になるのは、院長も従業員も同様で“本気でやる覚悟”だと思います。
従業員さんに現実に厳しさをしっかりと伝えて努力しないならば、“何も得ることは出来ない“という当たり前のことを本当の意味で理解してもらう事が必要です。

【5】究極の診療所経営方法

診療所経営に不振(患者数減少の理由は、外部要因と内部要因がある)

先生が診療所を開業し、ほどなく経営は波に乗り、数年後には院長としての自信もついてきました。
しかしどうも最近、患者さんが減ってきた様子。さあ、「再び患者を集めるにはどうするべきか…?」というのが今回の事例です。
診療所を構えて何年経とうとも、患者さんの極端に少ない日々が続くことは恐怖以外の何ものでもありません。

・「来月も再来月もこのままだったらどうしよう…?」
・「家賃や給料など月々の支払いは待ってくれないし…」

といった不安がジワジワと胸に影を落としていく様は、勤務医時代には味わうことのない心境です。
すぐさま手を打ち憂鬱な気持ちを消し去りたいところですが、こんな時ほど要注意。「一刻も早く増患を…!」と焦燥感に駆られるあまり、見当違いの対策を選びがちなためです。

まずは、状況を冷静に判断し、患者さんが減った原因がどこにあるのかを分析することが大切です。その際、「患者数減少の理由には“外部要因”と“内部要因”がある…」ということを予備知識として持っておくと、原因の追求と対策がスピーディーに行えます。

外部要因に対しては、アピールポイントを見極め積極的にPR

外部要因とは、診療所の外で起きていること。例えば、競合医院のオープンや道路拡張工事等による道路事情の変化、周辺地域の人口構成の変動などがあげられます。外部要因はその性質上、基本的に診療所サイドから原因を直接取り除くことができません。近所にオープンした競合医院に患者を取られたからといって、「業務妨害だから移転しろ…!」と言えないのは当然です。
この様な「外部の変化」に対処したい場合は、“患者さんに対する診療所のアピールポイント”を、その変化に合った適切なものにすることが重要です。たとえば、ライバル医院の特徴が新しさや院長の若さだった場合、自院のホームページを、経験や信頼感を打ち出したものへとリニューアルする、道路事情が変わったことで“診療所の場所が分かりづらくなっている”としたら、“電柱広告”を見直す、などの具体策があげられます。人口構成の変動に対しては、お年寄り人口が増加したなら早朝診療を、通勤/通学者人口が増加したなら夜間診療を、日中のビジネスマン人口が増えたならお昼の診療をそれぞれ重点的に行えるよう診療時間を変更し、それを徹底してPRしましょう。

内部要因に対しては、できる所からすみやかに改善していく

一方、内部要因とは診療所内で起きていること。“接遇品質の低下”や医療技術/機器の旧式化などがあげられます。つまり診療所で提供しているサービスの質に関することが殆どです。これらは外部要因に比べると直接解決できる分、手をつけられる箇所からの改善が見込めます。例えば、患者さんに対する接遇などは、すぐにでも見直すべきポイントです。開業当初は新鮮な気持ちから懸命な姿勢だったのに、一定の年月が経つとどうしても慣れが発生してきます。

・患者さんに「おもてなしの心」で接しているか…?
・上から目線で話しかけていないか…?

などのチェックをスタッフ相互に行って注意を促していきましょう。また、開業すると勤務医時代と違って最新の医療情報を入手しづらくなります。日々の業務にかまけていると、医療の最前線から遠ざかっていくばかり。最近ではネットの知識ながら、よく勉強している患者さんもいるためうかうかしていられません。

なお、内部要因が医療機器の旧式化である場合は機器への再投資を検討することになりますが、“採算が合うかどうか”の下調べを慎重に行って下さい。もちろん、患者減少の原因が一つであることは少なく、外部/内部の要因が複合的に絡み合っている場合もあります。しかし原因をつきとめ冷静に対処しようと考えた時、上に述べたような分析と対策はきっと役に立つことでしょう。

某内科診療所が弊社の提案を取り入れて改善させた事例  その際使った資料です

札幌市内では、多くの診療所が利便性の良い繁華街の一角や住宅街にあり、徒歩圏内には多くの診療所がひしめき合っているのが現状です。競合他院が立ち並ぶ中、患者さんに選んでもらおうとホームページにお金をかけたり、新聞に折り込み広告を入れたり、健康情報をブログに書いて発信したり、一人一人にハガキを出したりしているかと思います。

日々の努力の結果、新規の患者さんが増え1日の来院数は倍増したが患者さんが増えたことに安心し、広告を止める、1か月ぐらいで患者さんの人数が元通りに減ってしまったとの声も…。再び患者さんを増やすために集客を再開したのですが、集客をしているにもかかわらず患者さんが日に日に減ってしまったという事例も…。そしてついには、集客した新規の患者さんが来なくなるだけではなく、もともと来てくれていた患者さんまでも、来なくなってしまったとの声も聞きます。

ある診療所では、このままではいけないと思いながらも、集患を辞めるわけにはいかず「広告」を続けていたら、ある日、
「良くないうわさが流れているよ…」と、ある患者さんが教えてくれたとのこと…。
その時はじめて自院の評判が下がっていることを知ったそうです。
それは、集患をきっかけに来院された患者さんが、広告やホームページで唱っている内容と診療所の中身に対して、

・「思っていた診療所と違った…」
・「ホームページには患者さんの話をよく聞きわかりやすく説明…と書いていたのに裏切られた…」
・「医師や看護師がつめたく2度と行くまいと思った…」

と感じ、そのまま良くない口コミが広がりました。

院長は、患者さんに来てもらうことばかりを意識していて、患者さんがなぜ来なくなったのか考えようとしていなかった
来院された患者さんの感想を知ったことで、患者さんが減っている原因に目を向けることの大切さ、そして、患者さんに来てもらうことがゴールではなく、来てもらってからがスタートだ…!ということに気が付くことができたとのことでした。
そこの院長は、開業してからやっているのは、休診日や診療時間を掲載した簡単なホームページぐらいで、多くの患者さんを呼び込むための「増患施策」や「接遇サービス」などを一切していませんでしたが、今では繁忙期で「70~80人/日」。閑散期でも「50~60人/日」の患者さんが来院しています。一般的に行われている集患施策は「対症療法」と同じで、その場の問題を解決する一時しのぎのことが殆どですが、人気で繁盛している診療所では、“根本的な原因を解決する集患のアプローチ”をしています。そうすることで現在来院されている患者さんからの紹介が増え、良い「口コミ」が広まり自然と患者さんが集まるようになりました。

ここから先は、医療者の目線で集患・増患を考えた、

【1】対症アプローチ
【2】原因アプローチ

この2つを紹介します。

【1】対症アプローチ

対症アプローチとは、“患者さんが少ない → 広告しよう”など、問題の表面的な解決を図るように行動することです。チラシなどの広告や患者さんへのハガキ、FacebookやTwitterなどのソーシャルメディアも、その一つです。対症アプローチをすることで、興味を持った患者さんが来院していただき、一時的に売上は上がります。診療所が広く知られていないことだけが原因で患者さんが少ない場合は、対症アプローチは効果があります。しかし、別に原因がある場合、この方法だと問題の根本的な解決になっていないので経営は安定しません。

【2】原因アプローチ

原因アプローチとは、“患者さんが少ない → なぜ少ないのか考える → 対処する”など、“問題の原因を探り根本的な解決を図る”ように行動すること。患者さんが来ないという問題に対して、

・医師が行う診察が原因であれば、患者さんの話をしっかり聞き、患者さんに合った診療方法を心掛ける
・診療所の雰囲気が原因であれば、心のこもったおもてなしをする、接遇を見直す、笑顔で接する
・医師の清潔感に原因があれば、散髪など身だしなみを整える、清潔感のある白衣に替える
・診療所のコンセプトに合っていない疾病が原因であれば、信頼できる医療機関に責任を持って紹介

このように、根本的な原因を分析し解決を図る習慣を定着させれば、集患に頭を悩ませることがなくなります。

私が院長に意識的に提案していることは、スタッフなどに、

・診療所の客観的な感想を定期的に聞く、
・患者さんを観察し、どこに満足、納得してもらえていないか探す、
・患者さんからのどんな小さなクレームや意見でも聞き逃さない、

などを心掛け、原因を知り解決方法を考えるようにコーチングしております。(集患・増患、スタッフマネジメント、他)

【6】広告宣伝費ゼロ、現状のスタッフと設備で「かかりつけ患者さん」を倍増させる方法とは…?

ここで地域密着型の「かかりつけ医」に求めることを考えたいと思います。
かかりつけ医は、日常的な健康管理をしたり、病気の初期治療を行ったりする、地域の住民にとっては、身近な医師の事です。患者さんはもちろん、その家族の病歴なども把握し、的確な診断を行わなければなりません。
また専門的な治療が必要だと判断した場合は、信頼でき治療が行える病院を的確に紹介します。こんな話を院長にするのは「釈迦に説法」かもしれません。しかし「かかりつけ医を決めている…」と答えている患者さんは、全体の5割に満たないのが現状です。

近年、ちょっとした風邪などでも大病院を訪れる患者さんが減らず、その結果大病院が入院医療や専門外来に特化できないことが機能分化の点から問題になっています。しかしこれは患者側の問題というよりは、「かかりつけ医」としての存在になりきれていない“診療所側にも問題”があります。そもそも、大病院なら安心で地域の診療所では不安だということは決してありません。そもそも与えられた役割が違うので、「かかりつけ医」ならではの価値をきちんと伝えていき、その特徴を生かしていくべきです。

では、ここで「患者さんが“かかりつけ医”に何を求めているか…?」を考えていきます。

1:「いつもの先生」に見てもらえる安心感…!

患者さんは、自分の身体の不調はわかっていても、その原因まではよくわかりません。また、病気というだけで気持ちは落込み、不安を覚えます。そんな時、身近にいつも居てくれる“かかりつけの先生”がいれば、自分の病歴や慢性的な疾患はもちろん、自分の性格まで知っているので、安心して受診することができます。

2:なんでも気軽に相談できる…!

「ちょっと具合が悪い…」「今は病気ではないが健康に不安がある…」「親の健康状態について聞きたい…」等の場合、遠くの大きな病院の初対面の医師には聞きにくいですし、地域医療の考え方から見ても、あまり良い状況ではありません。ちょっとしたことでも気軽に相談できることは、「かかりつけ医」の大きなメリットです。

3:あまり待たずに診てくれる…!

地域医療の機能分化が、まだまだ十分に機能していない部分もあり、多くの大病院の外来は常時混雑しています。また、一方、診療所は一概には言えませんが大病院に比べれば待ち時間はそれほど長くないですし「町の診療所」だからこそできる、決め細やかな対応があるといえます。

それ以外にも、患者さん同士が知り合い同士だったり、スタッフとの距離も近いので、待ち時間を負担に感じさせない環境であることが、メリットであるといえます。

「かかりつけの診療所」に求められるのは、ハード面の充実だけではなく、
素朴な人の温かさ、体温が感じられるようなサービス面の充実です

初期医療

*患者さんが、第一に診察を受ける身近な医師(初期治療)
*患者さんの病歴、家族の病歴などの健康状態を管理

保健指導

*健康上のどんなことでも、気軽に相談できる存在

在宅療養

*患者さんの生活に密着し、生活習慣の問題など、身近な医師だからこそできるきめ細やかな指導

初期医療

*往診により、在宅療養の患者さんの健康状態をチェック
*緊急の事態に対応できるよう、地域の病院と連携

【7】診療報酬売上が計画通り伸びずお悩みの院長へ…

患者さんが集まらない…」「思っていたよりも経営が上手くいかない…」というお悩みはありませんか…?
「患者さんの来院数を増やしたい…」「患者さんに支持される診療所を作りたい…」とお考えでしたら、まずは患者さんの満足度を高めることが近道でしょう。患者さんの満足度を高めることで、
またこの先生にお世話になりたい…」「またこの診療所に来たい…」と思ってもらいやすくなるからです。

逆に患者さんの希望や満足度を放置し、患者さん目線でない診療所を経営し続けると、患者さんが診療所から遠のいてしまったり、他の診療所に、「かかりつけ医」を変更してしまいかねません。
そうなる前に、“患者さんの心を掴み、患者満足度を高める”ことで“院長の診療所のファン”にしましょう。
ここでは、「患者さんの満足度を高める方法」と「リピート率アップ」について経験上得たことをレポートします。

患者満足度を高める方法(1)

患者さん目線での診察”していますか…?
診察時、患者さんに対して、無意識にそっけない対応をしてしまってはいませんか…?
初診の患者さんが、「またこの先生に診てもらいたい…」と思う理由の一つに、「医師の対応の良さ」があります。
というのも、患者さんは来院する際、体調不良や健康に不安があって来院します。気持ちが不安定になっていたり、来院前に病状を調べ、心配が増していたりするかもしれません。そのような状態の患者さんにそっけない対応をしてしまうと、
ここの先生は優しくないな…
次は違う病院に行ってみよう…
と思ってしまうものです。もっと最悪のケースでは、その患者さんにとどまらず、
あそこの病院は先生が不親切だ…
などと、まだ院長の診療所に来たことのない人にまで噂を広められてしまうこともあります。こういった最悪の事態を避けるには、普段から院長が患者さんの立場に立って、寄り添って接することを心がけることが大切です。

では、具体的に“寄り添う”とはどのようにすれば良いのかというと、
患者さんに対して笑顔で対応する
医療用語はなるべく使わず、わかりやすい言葉を使う
患者さんの「こんなこと言っていいのかな…?」という“小さな不安を聞き出す”

まずはこの3点を心がけてみてください。

最後の“小さな不安を聞き出す”に関しては、診療最後に「何かほかに、気になることはありませんか…?
と患者さんに質問します。院長は患者さんに質問をしなくても、ある程度症状を把握することができるときもあるかと思います。患者さんは、院長にあまり質問されないと、「なぜこの先生は私に何も聞かないのだろう。ちゃんと診察してくれているのかな…」
と不安になってしまうのです。

患者さんの立場に立って診察を行えば、自然と患者満足度が向上し、患者さんに「また診てもらいたい…」と思われる先生になれるはずです。ここでは、患者満足度を高める方法の1つ目、「患者さん目線での診療」について解説しました。

【8】人材を粗末にする診療所が「経営難」に追い込まれる

スタッフに“高圧的な態度で接する”内科開業医の院長の話です。勤務医だった頃の習性もあるようですが、一度に全員が辞めてしまい大変なことに…というケースもあるようです。このレポートでは“スタッフをないがしろにして経営難に陥った診療所”の事例を紹介します。 ※医師の独立開業が増加する一方で、経営に問題を抱える診療所も増加しています。

ここでは、私が経営支援先の院長からお聞きした実例を元に、開業医が陥りやすい経営上の落とし穴と、その予防策を説明します。

経営者に嫌気して、スタッフが一斉退職する医療機関も…

[事例]:
内科開業医のH院長は、開業コンサルのつくってきた事業計画書を見て「これだけ患者さんが来たらスタッフもそれなりに揃えておかなければいけないな…」と考え、開業時に事務担当2名と看護師3名を雇いました。
しかし、実際に開業してみると、事業計画書の見込みの半数ほどしか患者さんは来ません。

毎月、スタッフに給与を支払うたびに銀行の残高がどんどん減っていきます。開業コンサルに相談しても「もう少し頑張れば患者さんが増えてきますよ…」と言うだけ。他に相談できる相手もいないH院長は、徐々にスタッフにあたるようになっていきました。「お前たちの対応が悪いから患者さんが集まらないんだ…」「指示されなくても自分で考えて動けよ…」 という具合です。

そんな状態になって三カ月ほど経過したときです。スタッフ全員が一度に辞めてしまったのです。
急な出来事にH院長は驚きましたが、それほど患者さんも来ていなかったので、H院長が一人で対応しながら、「また募集すればすぐ集まるさ…」と気を取り直し、スタッフ募集の広告を出しました。
すぐに反応があるはずだと思っていたH院長ですが、いつまで経っても誰も応募してこなかったのです。

安易に雇うと“人件費”に苦しみます。それと同時に、開業するということは診療するだけでなく、スタッフの人事や教育業務も請け負い、何よりも「人財」を大切にするべきだということを忘れてしまっていたのです。

「スタッフ全員が一度に辞めてしまうことなどあるわけがないだろう…」、「よっぽどなレアケースだ…」、と考える院長も多いかもしれませんが、私が知っている限り、新規開業した“5件に1件程度の割合で起きていること”です。
多くの場合、開業した院長が勤務医時代の意識のままで、スタッフに対して高圧的に接したことが原因になっています。
辞めることを事前に告げてくれればまだ対処のしようもありますが、スタッフも院長の対応に嫌気がさしてやめるのですから、
突然来なくなることも少なくありません。

一昔前までは、診療所開業時にスタッフを募集すると多くの応募がありますので、多くの院長は「スタッフの代わりくらいいくらでもいるさ…」と思いがちですが、それは幻想です。応募が集まるのは開業時だけです。今回のH院長のケースでもそうですが、人件費が“診療所の経営を圧迫”して、スタッフにあたり散らす院長も少なくありません。その意味で、人件費については慎重に考える必要があります。

「伸び代」を考慮し、閑散期に合わせた人数体制で雇用

開業された院長も“人件費は必要な費用”だと考えがちです。例えば、300万円の医療機器を毎年2台、3台と買いますか…? と聞かれれば、多くの院長も「買うわけはないでしょう…」と答えるはずです。
そんなものは不要だと考えるのですが人件費の場合には、その感覚が狂ってしまいます。仮に月20万円の給料を1年間支払うと240万円になります。ボーナスを加算すれば、すぐに300万円を超えてしまいます。社会保険料の負担もしなければなりません。スタッフが3人いれば、300万円の機器を毎年、3台買っているのと同じことになります。その感覚を持っておかなければなりません。

ちょっと話はずれますが、上場会社が新入社員を採用するとき、多くの場合は役員面接があります。なぜ、新入社員を雇うために、わざわざ役員が面接までするのでしょうか。
役員がその時間を使って会社の方針を決めることによって、大きい場合には、何千億円単位の金額が動くこともあります。

なぜ、初任給二十数万円の新入社員の面接までするのかといえば、人件費は会社のコストとして無視できないほど重要だからです。もちろん、人材が重要であるとの意識もあると思います。しかし、人を一人雇った場合のトータルコストは医療機器を買うのとは比べ物にならないほどの大きな影響力を持っているのです。

ここで重要なのは、“人件費は、固定費”だということです。収入があってもなくても確実にかかるコストです。
医療機関には、どうしても季節変動があります。内科や耳鼻咽喉科であれば風邪が流行する季節、あるいは花粉症の季節には患者さんが増えます。しかし夏の間は減ってしまいます。その診療所にもよりますが、少ないときにはピーク時の七割程度まで落ち込むことも少なくないでしょう。

それでは夏の間のスタッフを一人減らせるかといえば、そういうわけにはいきません。年間を通して一定数でやっていくしかないのです。ですから、ピーク時に合わせて人を雇ってしまうと固定費がかかり過ぎてしまいますし、閑散期に合わせてしまうと繁忙期を乗り切ることができないかもしれません。非常に難しい問題です。しかし、“診療所の運営に成功している”多くの経営者は、スタッフの伸び代を考慮して、閑散期に合わせた人数体制で雇用しています。

★最後に・・・

  • 新規開業の五件に一件でスタッフの総退職が起きている。
  • スタッフを一人雇うのは、毎年300万円の機器を買うのと同じ。
  • 経営に成功している院長は閑散期に合わせた人数体制で雇用している。

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